2011-01-19

辛卯睦月投票日記



昨日、あれだけいろいろと候補を挙げておきながら、
結局のところ誰に投票するのかは早い段階で決まっていたのだった。


(いい年こいて丸文字でスマンことである。)


そうゆうわけで、今年はほとんどの票をHEAD PHONES PRESIDENTに入れた。
いや、2005年以降は毎年バンドはHPP、ヴォーカルはAnzaさんに入れているのだ。

とはいえ、基本的に「ひとつの枠につき1バンドからひとりだけ」という原則を採用しているので、
今年は例外中の例外というか、こんなに1バンドに固めて投票したのは長い投票史上初めてである。

もちろん、この背後にはそれなりに理由が、いや想いがあるのだし、
だれにどう投票しようが知ったこっちゃないのだから、勝手にやってればいいのだけど、
他にも票を入れたかったひと(作品)はいくらでもいる(ある)ので、そのことを書きたいわけだ。

ということで、ひとつずつやっていく。


GROUP///HEAD PHONES PRESIDENT


初めて観た2005年以降、バンドはずっとHPPである。
それだけ衝撃的なライブだったし、やっている音楽も素晴らしいのだからここは不動である。
しかも、今年は南米公演、リアレンジ・アルバムの発表、初のアコースティック・ライブ、
そしてMarさん(g)の脱退を乗り越えてすぐに四人編成で活動し出す、という慌しい一年だった。
今年の活動すべてに敬意と感謝を捧げたい。


他にも、票を投じたいバンドはいる。
たとえば、再結成してこれ以上ない素晴らしいバンド・サウンドを披露してくれたMR.BIGや、
強力極まりないアルバムを発表し、変則的な編成でも最高のライブをみせてくれたOVERKILLや、
「まさか」の再結成と来日、そして至福の時間をもたらしてくれたDIZZY MIZZ LIZZYなどだ。



VOCALIST///Anza (HEAD PHONES PRESIDENT)


ライブで毎回、命を削るように全力で歌う姿を観つづけていて票を投じないわけにいかない。
新作でも、曲に予期せぬ新たな表情を加えていて驚かされた。
その表現領域は拡がりつづけている。


他に、ライブで観て改めて驚かされたのが、
Morrie(DEAD END,Creature Creature)とアニー・ハズラム(RENAISSANCE)だ。
Morrieは若い頃から圧倒的にステージングが巧いが、それは今もまったく変わっていなかった。
アニーなど、全盛期(70年代中盤)のヴォーカリゼイションから衰えがないという超人っぷりである。

OVERKILLのブリッツも、ライブでは強靭なパフォーマンスを披露してくれた。もう50歳くらいなのだが…。
森重樹一は、ライブを観るたびに「この人は日本一歌が上手いのではないか」と思ってしまうひとだ。

アルバムを聴いてその歌唱の素晴らしさを堪能したのは、スティーヴ・オーヴァーランド(FM)、
ハリー・ヘス(FIRST SIGNAL)、トミ・ヨーツセン(AMORPHIS)、エリック・マーティン(MR.BIG)など。

驚いたのがヨンネ・アーロン(NEGATIVE)で、まさかあれほどまでにうまくなっているとは思わなかった。
瞬間的にHAREM SCAREM時代のハリーを思ってしまったほどである。ライブで是非確認したいところだ。


GUITARIST///Hiro (HEAD PHONES PRESIDENT)


新作やライブでの弾きまくりが、ここへきて更にその度合いを高めている。
また、多彩なアレンジ能力は驚くべきレベルで、
世界中のHM/HRやヘヴィ系のギタリストで類例が思い当たらない。
Marさん脱退後の水戸公演では、その演奏量も相当なものになっていた。
今後さらに飛躍するのは確実だ。


2010年、ライブで観て最大の衝撃を受けたのがスティーヴ・ハケットだった。
わたしは勝手に「師」とつけてハケット師と呼んでいる。幻想派の巨匠であり、まぎれもない天才だ。
ハケット師に票を入れるつもりだったが、HPPの水戸金沢公演を観てHiroさんにした。

初めて観たゲイリー・ムーア、マイケル・シェンカー、アンガス・ヤング、スラッシュも、当然候補。
ただ、ゲイリーは弾きすぎで一音のありがたみが薄れてしまったし、神とアンガスは席が遠すぎた。
スラッシュは最高だった。ゆえに彼でもよかったのだけど、音楽的好みでハケット師が上にきた。

ジェフ・ルーミズ(NEVERMORE)はアルバムもライブも笑っちゃうほどの技巧だったし、
ジェイムズ・ヘットフィールド(METALLICA)の刻みも相変わらずの鬼っぷりで最高だった。

ジョン・ミッチェル(IT BITES)も特筆すべきギタリストだ。
いわゆる「クサメロ」とは無縁の、メロディアスかつ叙情的で知的なプレイを身上とするあたり、
ハケット師を思わせもするが、その上、現代的な超絶技巧をもあわせもっている点が素晴らしい。
ARENAやFROST*でも活躍しているところを聴くと、もっと知られ評価されるべき人物としか思えぬ。

ライブアルバムを聴いて、エサ・ホロパイネン(AMORPHIS)はマイケル・アモットを超えたと思った。
トーン・コントロールが完璧な上、そのメロディ、その表現力がいま絶頂期を迎えていると思う。

それと、ビル・レヴァティ(FIREHOUSE)もソロがおもしろかった。
伝統歌や初期ブルーズに材をとったサザン・ロック(2009年作)をセンスよく聴かせてくれた。
予想以上に器用かつ才能のあるギタリストなので、今後の動向はチェックしなければなるまい。



BASSIST///Narumi (HEAD PHONES PRESIDENT)


元々、図太い音でメロディアスにうねるベースを弾いていたけど、
新作におけるアコースティック化でその威力が更によくわかった。
Marさん脱退後は仕事量も飛躍的に増大しており、
ライブでは只事ではない凄みを放っている。


サマソニのアンコール、"Metropolis"の「あの」ソロ・パートを前にして、
ジョン・マイアング(DREAM THEATER)は自分にとって「ヒーロー」なのだと痛感した。
(いまだに、初期の表記「ミュング」で呼んでしまう)
目で追っても何やっているのかさっぱりわからないが、唯一無二の芸風を持つひとである。

D.D.ヴァーニ(OVERKILL)も凄かった。あの音は「ブリッブリ」としか言いようがない。
とんでもなく弾力のある音なのだ。鉄球でバスケのドリブルをやっているような印象がある。

アルバムで弾きまくるビリー・シーン(MR.BIG)のベースを聴いて、
久しぶりに「コイツどうかしとるわ」と笑ってしまった。この人も唯一無二の男だ。



DRUMMER///Batch (HEAD PHONES PRESIDENT)


パーカッシヴでニュアンスに富んだフレーズが得意だったが、
実際にパーカッションを叩くことで更にその表現領域を拡大した。
ヘヴィでラウドなドラミングも同様。HPPの多彩さに拍車をかけることになるだろう。


ソレン・フリス(DIZZY MIZZ LIZZY)が現役時代と変わらぬ風貌と演奏で健在ぶりをみせてくれた。
元々巧いひとだったけど、ライブで観るとその巧さに感心することしきり。本格的に再結成してくれ。

トム・ハンティング(EXODUS)はアルバムでもライブでも「化け物」であった。どうかしている。
デイブ・ロンバート、ポール・ボスタフ並みかそれ以上の猛者だと思う。恐ろしい…。

新作を聴いて、この人って本当に何でもできるんだなと改めて感じ入ったのがパット・トーピー(MR.BIG)。
伊達にビリー・シーンの相方を長年つとめているわけではないのだ。また注目されるようになってほしい。



KEYBOARDS PLAYER///John Beck (IT BITES)

Lee Pomeroy (b), Bob Dalton (dr),John Mitchell (vo,g) & John Beck (key)

ライブで観れたキーボード・プレイヤーはあまりいない。
いてもツアーのアディショナル・プレイヤーだったりするので、バンドの正式メンバーとなると、
ジョン・ベックのほかはデーモン・フォックス(BIGELF)くらいである。
ミニムーグとメロトロンを操るデーモンもよかったけど、やっぱりわたしはこの人だ。
ジョン・ベックのサウンド・センスは抜きんでていると思う。
ライブ限定のアレンジを聴かせてくれる点も考慮した。


アルバムでもキーボード・プレイヤーはあまりいない。
そんな中、フレドリック・ヘルマンソン(PAIN OF SALVATION)は毎度のように堅実かつハイセンス。
PAIN OF SALVATIONはもっと注目されてほしいのだけど、新作に伴うインタビューすらなかった…。



LIVE PERFORMANCE IN JAPAN///Steve Hackett


「来日アーティスト」なので、国内バンドに投票できない。(是非とも国内枠を作ってほしい…)
となると、ギタリスト枠から外したハケット師に一票入れるよりほかあるまい。それほど感動的だった。
IT BITESDIZZY MIZZ LIZZYも、パフォーマンス、セットリストともに最高で文句なしだった。

国内組では当然HPPなのだが、どの日と訊かれると返答に窮する。Boxxかアコースティックか…。



BEST ALBUM///Pobl Lliw (HEAD PHONES PRESIDENT)


リアレンジしたセルフ・カバー+新曲からなるアルバムなので悩んだのだけど、
2010年で一番聴いたアルバムだし、その点で他を圧倒していたから、やっぱり本作しかない。


他にはWhat If... (MR.BIG)、Ironbound (OVERKILL)、Road Salt One (PAIN OF SALVATION)など。


BEST TUNE///"Sand" (HEAD PHONES PRESIDENT)

アルバムと同様、一番聴いたので選出。
ただ、曲単位では普段から聴かないから、毎年この枠は違和感があるのだけど。


BEST SONGWRITER///SLASH


様々なヴォーカリストたちにピッタリの曲を書いていた、
その幅広い作曲能力に敬意を表して。
サマソニのライブが素晴らしかった、というのもあるか。


BRIGHTEST HOPE///LAPKO


チープなNWOTHM勢や新LAメタルみたいな80年代回帰組は、曲が良くてもイマイチのれないし、
いわゆる「嬢メタル」(蔑称じゃないか?)と呼ばれている女性ヴォーカルバンドもあまり感心せず、
国内のガールズ・メタル勢は聴いていないし、アレコレ多くて聴く気が失せてしまった。

BIGELFは日本デビューとはいえ90年代から活動しているバンドだから「新人」とは言い難い。

そんな中、年末に登場したLAPKOは新鮮だった。
すでにそれなりのキャリアがあるので迷いはしたけど。


BEST ALBUM COVER///Deep South (Bill LEVERTY)


CATHEDRALが新作を発表した年は必ずそのアートワークを手掛けているパチェット氏に一票なのだが、
今年はビル・レヴァティの祖父に一票。新聞社で働いていたのだとか。わたしの版画好きも一因。


BEST DVD///Uroboros At Nippon Budokan (DIR EN GREY)

2010年はほとんどDVDを買わなかった。これとAMORPHISのだけである。
ヴォリュームで選出?というわけでもないけど、結果そうかな…。


SHINING STAR///Anza (HEAD PHONES PRESIDENT)


京、神、アンガス、ゲイリー、Morrie、スラッシュ、ハケット師、ブリッツ、ジェイムズ、森重さん、
という錚々たる面子を差し置いて、毎度のようにAnzaさんである。ライブを観れば嫌でもわかる。



PLEASURE///DIZZY MIZZ LIZZYの再結成来日公演


ライブ枠をハケット師に献上したので、こちらで。本当にうれしかった。
うれしかったと言えば、MR.BIGの新作もそう。あの素晴らしさは多くのひとに届いてほしい。



BORE///イングヴェイの新作の音と曲

わたしは毎年、この枠に逝去・解散・脱退などを挙げないことにしている。
音楽は人間関係だ。わたしなどが与り知らぬことばかりがバンドにはあるに違いないのだ。
だから、解散や脱退はその理由を問わない。仕方ないことだとあきらめるしかない。
まして死は尚更であろう。それを「BORE」とはとても言えない。言えるわけがない。


よって、この枠は毎年バカげたことばかり書いている。
もちろん、本気で呆れ、腹が立ったことに変わりはないのだけど。
去年はマックス・カヴァレラのサマソニにおける醜態と、ドン・ドッケンのLP09における歌唱で悩んだ。
結局、酷すぎた後者にした。新ヴォーカリストを迎えるしか再生への道はないが、偽DOKKENになってしまうな。



今年は、イングヴェイの新作である。タワレコで試聴して、あまりの音の悪さに腰が抜けそうになった。
イングヴェイの前は、インディーズのマイナーなバンドを聴いていたのにその落差はあまりにも大きかった。
曲も「いつも通り」で工夫もなし、リッパーのヴォーカルも力みすぎで却ってチープ。歌メロもぞんざい。
ジャケも毎度のように残念。ギターはいいのかもしれないが、あんな音では聴く気にすらなれない。

BURRN!ではなぜか3人とも80点台で、正直わが目を疑った。わたしなら赤点以下をつけただろう。
あんな酷いものが80点台で、アレやソレやコレがそれ以下(に見える)、というのは許し難い。
いや、点数はどうでもいいのだ。問題は、点数だけを鵜呑みにする人に誤解される点なのだ。
(もっとも、レビューの内容が怪しいものもあるのだけど。とくに羽田ァ!)

イングヴェイも、ドゥギーと組んでいたときはまだいける、と思ったのに…。
誰か、偉い人がプロデュースしないと改善される可能性は皆無だろう。
あの傲慢なスウェーデン人が、そんなこと受け入れるわけないけど。
貴族だから?え、正確には伯爵だって?ハイハイ…。


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